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法エールVol.207

健軍事務所 司法書士 山﨑 順子

2026年4月20日

仮登記とは / 判例紹介:旧警備業法欠格条項違憲判決 / 司法書士日記


ご挨拶


4月に入り、日ごとに暖かさが増してまいりました。桜も満開となり、各地で見頃を迎えておりますが、皆様もお花見を楽しまれたのではないでしょうか。

また、企業の皆様におかれましては、新年度を迎え、新入社員を迎えられたところも多いことと存じます。

当法人におきましても、この4月より新たに司法書士有資格者が1名入社いたしました。

昨年の司法書士試験に合格した30代の男性で、健軍事務所にて勤務いたします。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

当法人では、司法書士有資格者の入社は数年ぶりとなりますが、熊本県内における司法書士試験の合格者数は毎年数名程度にとどまっており、依然として人材の確保は容易ではありません。

司法書士試験は毎年7月に実施されており、本年の全国合格者数は751名で、前年の737名からわずかに増加いたしました。

また、合格者の平均年齢は42歳とされており、社会人として経験を積んだ後に資格取得を目指す方が多い傾向にあります。

私が合格した平成14年当時は平均年齢が31歳であったことを踏まえると、この23年間で11歳も上昇していることになります。

実際、私が受験していた平成12年頃は、私が在籍した大学内にも複数の受験者がいる環境でしたが、熊本の大学生に話を聞くと、最近、身近に司法書士試験を目指している人がいないということでした。

司法書士という職業が、より多くの若い世代にとって身近で魅力ある選択肢となり、次代を担う人材が育っていくことを心より期待しております。

当法人といたしましても、人材の育成と業務の質の向上に努め、地域の皆様に信頼される存在であり続けられるよう、引き続き邁進してまいります。

それでは、今月の法エールもよろしくお願い致します。


(代表社員 井上 勉)





仮登記とは



今回は仮登記について、お伝えいたします。

仮登記とは、将来において所有権移転等の登記(本登記)を行うことを前提に、その請求権や権利関係を保全するため、あらかじめ登記簿に記録しておく暫定的な登記をいいます。

売買契約や贈与契約などにより所有権移転の合意が成立しているものの、代金の完済が未了である場合や、農地法上の許可や開発許可など一定の条件が満たされていないため、

直ちに本登記を申請できない場面で利用されます。仮登記には、将来の本登記の順位を確保するという重要な機能があり、権利変動の安全性を図る制度として位置づけられています。


【仮登記と本登記】


仮登記は本登記と異なり、仮登記がされたことにより所有権移転等について第三者対抗要件を備えるわけではなく、あくまで本登記に係る請求権などの権利を保全するにとどまります。

しかし、後日、本登記を行った場合には、仮登記で確保した順位で第三者対抗要件(民法第177条)を備えることができます。

すなわち、仮登記後に同一不動産について第三者が所有権移転登記を受けたとしても、先に仮登記をしていた者がその後本登記を備えれば、当該第三者に対して自己の権利を優先して主張することが可能となります。


【メリット・デメリット】


このような性質から、仮登記の最大のメリットは、権利の優先順位を確保し、いわゆる二重譲渡や第三者による差押え、仮差押え等による不測の不利益を回避できる点にあります。

特に不動産取引においては、契約から決済・引渡しまで一定の期間を要することが多く、その間に売主が別の第三者へ同一不動産を売却してしまうリスクが現実に存在します。

このような場合でも、買主があらかじめ仮登記を備えていれば、自らの権利を保全することができ、取引の安全性が大きく高まります。

もっとも、仮登記には一定の留意点を必要とするデメリットも存在します。

前述のとおり、仮登記は本登記の順位確保のための暫定的な手続きであるため、第三者対抗要件を備えるために、最終的には本登記を行う必要があります。

本登記の際には、条件が成就されているか等、本登記ができる状態であるかを確認しなければならず、あわせて必要書類の準備のため、不動産所有者等の仮登記義務者の協力を得る必要があります。

そのため、あらかじめ契約において、条件内容、本登記の時期、当事者の協力義務について事前に明確に定めておくことが重要となります。

以上のとおり、仮登記は、不動産取引における権利保全と優先順位確保のための重要な制度であり、適切に活用することで取引の安全性と確実性を大きく高めることができます。

実務においては、個々の事案に応じた的確な判断と手続の選択が求められるため、専門家の関与のもとで慎重に進めることが望ましいといえます。



判例紹介


旧警備業法欠格条項違憲判決

(最高裁令和8年2月18日大法廷判決)



【事案の概要】


原告(被上告人)は、軽度の知的障害を有し、警備会社において警備員として勤務していたところ、保佐開始の審判を受けた。

当時の警備業法は、被保佐人であることを警備員の欠格事由として定めていたため、原告は退職を余儀なくされた。

そこで原告は、当該規定は憲法22条1項及び14条1項に違反すると主張し、国が当該規定の改廃を怠った立法不作為は違法であるとして、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を請求した。


【争点】


1 被保佐人を一律に警備員の欠格事由とする規定は、憲法22条1項・14条1項に違反するか。

2 国会が当該規定を改廃しなかった立法不作為は、国家賠償法上違法か。


[憲法]


第22条第1項何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

第14条第1項すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


[国家賠償法]


第1条第1項国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。


【裁判所の判断】


1 憲法適合性について


被保佐人であることのみを理由として警備員となることを一律に禁止する本件規定は、精神上の障害を理由として職業選択の自由を制約し、かつ不合理な差別的取扱いをするものである。

そして、職業選択の自由に対する強度の制約であること等に照らすと、本件規定が合憲といえるためには、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要する。

しかしながら、警備業務の適正確保という目的は正当であるとしても、個別的・実質的な能力審査による規制手段が存在する中で、被保佐人であることのみを理由に一律に排除することは過剰である。

したがって、本件規定は、憲法22条1項及び14条1項に違反する。


2 国家賠償責任について


立法不作為が国家賠償法上違法となるのは、当該立法の不作為が、国会に認められた裁量の範囲を逸脱し、著しく合理性を欠く場合に限られる。

本件においては、成年後見制度や障害者施策の整備状況、欠格条項見直しの経緯等に照らし、本件規定が改廃されるまでの過程において、国会の判断がその裁量の範囲を逸脱していたとまではいえない。

したがって、立法不作為は国家賠償法上違法とはいえない。


【コメント】


警備という仕事に、安全のための基準が必要なのは当然ですが、被保佐人という地位のみを理由に職業選択の自由を全面的に排除することについて違憲と判断した点は、妥当だと思います。

「属性による一律排除」ではなく、「個別具体的な適性審査」へと転換することが求められていると言え、近時の成年後見制度の抜本的な見直しの流れを汲んでいるものと思います。




司法書士日記



ここ最近、豆乳を飲むことを習慣にしています。日々の食生活から、たんぱく質不足を感じており、何か補えるものはないかと考えていたところ、

インターネットで豆乳が良いとの記事を見つけ、取り入れるようにしました。

スーパー等で見かける豆乳には、全材料が大豆だけの「無調整豆乳」、無調整豆乳に砂糖などを加えて飲みやすくした「調整豆乳」、コーヒーやフルーツなどの味付けをした「豆乳飲料」があります。

実は、これらの違いも最近まで知らず、特に調べることもしていませんでした。

色々と調べてみると、豆乳にはたんぱく質の他にも、大豆イソフラボンがホルモンバランスを整える働きがあり、また、腸内環境を整えたり、血圧を下げる効果もあるようです。

私は無調整豆乳をコーヒーに入れてカフェラテのようにして飲んでいます。ちょっとしたことでも、健康のための習慣をこれからも続けていきたいと思います。


(健軍事務所 司法書士 山﨑 順子)





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