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法エールV ol.203

藤田 賢司

2025年12月20日

マンションの管理・再生の円滑化等のための改正 / 判例紹介:女性へ性別変更後に出生した子に対し、父子関係認めた事例 / コラム:米(コメ)問題に思うこと



ご挨拶


先日、ある経済紙を読んでいたら、日本の財政状況と財政余力の実態という記事が掲載されていました。

この記事には、日本の財政は危機的状況にあるとマスコミ等が情報を流しているが、実際は過去30年で最も財政状況は改善しているということが書かれてありました。

根拠としましては、日銀の資金循環統計によると、一般政府の資金不足は2024年度末時点でほぼ解消されつつあり、2005年以来初めて政府が資金余剰に転じる状況であること、政府総債務(粗債務)の対GDP比は2020年をピークに急速に低下しており、アベノミクス初期の2013年以降安定し、現在ではコロナショック前を下回る水準となっていること、政府純債務の対GDP比も15年以上ぶりに90%を割る水準まで低下していることが挙げられています。

財政がこれほど改善した背景には、デフレ脱却による名目GDPの拡大と想定を大きく上回る税収の増加があります。現在の日本は、インフレにもかかわらず基礎控除などの税制が据え置かれたままで実質的な増税となっており、税金を取りすぎている状態にあるということです。

日本は、2034年度までに毎年10兆円を上回る財政余地があります。国債を発行してもGDPが増える範囲内であれば債務比率は改善するため、支出拡大と債務比率低下の両立は可能です。

そのため、高市早苗新政権の掲げる積極財政は可能であり、どこに資金を投入していくのかが、非常に重要です。積極財政が順調に進めば、名目GDP 1,000兆円という目標も現実味を帯びてきます。

日本社会は、少子高齢化や社会保障費の増加等、様々な課題がありますが、経済が成長していく中で、課題が少しでも解決していければいいと思います。

それでは、今月の法エールもよろしくお願い致します。


(代表社員 井上 勉)



マンションの管理・再生の円滑化等のための改正


前回は、「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律の一部を改正する法律」が成立したことに伴い、建物の区分所有等に関する法律(以下、改正前の同法を「旧法」といい、改正後の同法を「新法」という。)の、新法の改正内容のうち、「管理の円滑化等」の具体的な内容について説明しました。

今回は、「再生の円滑化等」の具体的な内容について説明します。


1.建替え決議の要件緩和


旧法での区分建物の建替え決議には、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数を要するとされていましたが、この決議要件を満たすのは容易ではなく迅速な建替えが行えないなどの支障がありました。

そこで、新法では、裁判所の決定により、所在不明の区分所有者を建替えにかかる決議の分母から除外することができる制度が創設されました。

また、下記(1)~(5)までの客観的事由のいずれかに該当する場合には、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で区分建物の建替えが行えるように決議要件を緩和しました。


(1)耐震性の不足

(2)火災に対する安全性の不足

(3)外壁等の剝落により周辺に危害を生ずるおそれ

(4)給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ

(5)バリアフリー基準への不適合


2.建替え決議がされた場合の賃貸借の終了


旧法では、建替え決議がされても専有部分に設定された賃借権は消滅しないため、建替え工事の円滑な実施を阻害するとされていました。

そこで、新法は、建替え決議がされた場合に、下記の図のような一定の手続や金銭補償により、専有部分に設定された賃借権を消滅させる制度を創設しました。


3.まとめ


今回の新法により、建替えの意思決定がスムーズになっても、区分所有者が賃借人に対して補償金を負担することになりますし、賃借人の転居先確保など多くの課題が残ります。

また、昨今の円安による物価高の影響で、建設資材費の上昇により建替え実施までに長期間を要することも考えられますので、行政の支援や補助金制度の創設なども必要となるでしょう。

以上、新法の「再生の円滑化等」の具体的内容を説明しました。




判例紹介



女性へ性別変更後に出生した子に対し、父子関係認めた事例

(令和6年6月21日最高裁判所第二小法廷判決)



【事案の概要】


もともと生物学的な男性であり、性別の取扱いを女性とする審判を受け、法的性別が「女性」となっていた者(被上告人)が、自身の精子を用いて他の女性に子を懐胎させ、子が生まれた。

子(上告人)は、自分の父を被上告人とする認知を求めた。

これに対し、第一審および控訴審は、「父に対する認知請求は、子の出生時において『父』の法的性別が男性である場合に限られるべき」などとして、認知を認めない判断をした。

とりわけ、控訴審は、被上告人の法的性別が女性に変更された後に出生した子について認知を否定した。

これに対して上告したのが本判決である。


【判決の内容】破棄自判


嫡出でない子は、生物学的な女性に自己の精子で当該子を懐胎させた者に対し、その者の法的性別が男性であるか女性であるかを問わず、認知を求めることができる。

その理由は以下のとおりである。


・法令上の性別と認知の要件は紐づいていない


日本の民法その他の法令には、「認知の訴えに基づき子との間に法律上の父子関係を形成することとなる者(=父)」の法的性別について明文の規定はない。

したがって、認知の可否を判断するにあたって、「認知をする者の法的性別」を前提とする理由は見当たらない。


・血縁関係(生物学的事実)を重視


生殖補助医療の進歩や、性別取扱い変更の特例法(性同一性障害者の性別変更を認める法律。

以下「特例法」という。)の施行により、法的性別が女性であっても、提供精子によって生まれた子との間に生物学的な父子関係が生じ得る状況が現実となっている。

仮に、法的性別(女性)をもって認知を否定するならば、同種の事案で父子関係の認定が制度上排除されるという不合理を生じさせる。

これでは、血縁関係という認知制度の本来的対象を歪めることになる。


・制度上の整合性と公平性


認知制度の目的は、血縁上の親子関係に法律上の親子関係を与えることにある。性別取扱いや性別変更の有無によって、同じ生物学的関係が一方で認められ、一方で否定されるというのは、制度の趣旨に反する。



【コメント】


この判決は、あくまで嫡出でなく、また、提供精子による生殖補助医療での出生を前提とした認知請求事件です。

生殖補助医療技術の発展やその利用拡大が進む一方、その利用により複雑化する親子関係や親族関係に法律が追いついていない状況があることが長く指摘されています。

家族のあり方や親子関係が多様化する中で、親族関係に関わる法律上の課題(養子縁組、相続・戸籍制度など)が多く残っています。子の福祉のためにも、早急な法律の整備が期待されます。



コラム 米(コメ)問題に思うこと


12月1日に発表された2025年「新語・流行語大賞」のトップテンに「古古古米」が選ばれたように、本年は、米の価格高騰に関連して、

消費者と生産者の立場、日本の農業政策や流通構造のあり方などが国民の関心の対象となり、多くの問題点が浮き彫りになりました。

今回の「令和のコメ騒動」に端を発した多くの問題点が複合的に絡む米(コメ)に関し、様々な出来事からどのような教訓を導き出し、

食の安全保障や日本の農の未来をどう作り直すなどに焦点を合わせて、官民一体となり総力を結集して問題点の解決に取組むことが何より求められることを痛感しました。


行政書士法人ヒューマン・サポート行政書士 藤田 賢司

(司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センター連携行政書士)





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