ご挨拶
4月から消費税率が8%になりましたが、消費者との間においては、特に大きな混乱もなく、無事移行できたようです。ただ、多くの事業所においては、値札を切り替える等の対応に追われ、今は、一息ついている経営者の方もおられるのではないでしょうか。
私たちの法人では、今回の税率が上がる前にと初めての社員旅行を企画し、先月天草方面に行ってきました。バスでの移動でしたが、広く車内の席を利用でき、快適な旅路となりました。宿泊先に着き、温泉に入り、食事をとって、多くのことを共有す
ることができました。そして、数年前であれば、ここから「2次会に行こうか!」というところでしたが、残念ながら部屋に戻りバタンキュウの状態でした。
翌日は、ギター説法を聞き、何事も控えめにという法話をいただきながら、昼食は若干食べ過ぎ、お腹が飽和状態となりました(笑い)。
日頃と違う環境で、職場の仲間と過ごせたひと時は、気分転換になりましたし、いい思い出にもなりました。来年もぜひ企画したいと思います。
それでは、今月号もよろしくお願いします。
(代表社員 大島 隆広)
特別代理人について
(親権者とその子の利益相反の場合)
今月から3回に分けて、よくある家庭裁判所における手続きをご紹介していきます。
特定代理人
普段の生活では聞き慣れない言葉だと思います。例をあげてご紹介してみましょう。
ここに父親A、母親B、未成年の子供Cの3人家族があったとします。
ある日、父親Aが亡くなりました。人が亡くなると相続が発生します。
今回は、亡くなった父親Aが被相続人、残された母親B、子供Cの2人が相続人(相続する人)になります。相続人である母親Bと子供Cの間で、被相続人である父親Aの残した財産(相続財産といいます)を分けることを「遺産分割」といいます。そしてこの相続財産をどのように分けるかを相談することを「遺産分割協議」といいます。遺産分割協議をしようとする中で今回のように子供Cが未成年だった場合は、法律上はその判断ができないとされ、子供Cに成り代わって判断をしてくれる「代理人」が必要になります。通常は、子供の代理人に親がなることが多いのですが、遺産分割の場合には、例えば今回のように母親Bと子供Cが同じ父親Aの相続人になるような場合、母親Bは子供Cの代理人になれません。なぜなら、母親Bと子供Cは相続財産について、片方の取り分が増えればもう片方の取り分が減るという関係にあるからです。これを「利益相反関係」といいます。法律上の判断ができない未成年の子供Cの代理人に母親Bがなってしまうと、母親Bは子供Cの意向を無視して自分の取り分を多くすることが可能になります。世間の常識では、母親が子供に多くの取り分を与えることも多いかと思いますが、法律では立場の弱い未成年の子供Cを保護することを優先して、最初から母親Bが子供Cの代理人になれないと規定しています。
ではどうすればよいのでしょうか。ここで登場するのが今回のテーマとなる「特別代理人」です。特別代理人が未成年の子供Cの代理人として、Cに成り代わって遺産分割協議に参加し、もう1人の相続人である母親Aと相談して遺産分割をしていくことになります。具体的にどのような人が特別代理人になっているかといえば、祖父・祖母・おじ・おばなどが多いようです。
もし、このABの夫婦にもう一人子供Dがいたとして、Dが未成年であれば、やはり特別代理人を選任しなければなりません。この特別代理人はCの代理人となった人以外の別人である必要があります。当然ですが、Dが成年であれば特別代理人は必要ありません。
次回は、具体的な手続きの方法をご紹介します。
判例紹介
有責配偶者からの離婚請求
最高裁判所大法廷 昭和62年09月02日判決
<事案の概要>
X男とY女は昭和12年に婚姻したが子はなく、昭和23年にA 女の子と養子縁組をした。YがXA 間に継続していた不貞関係を知ったことから不和になり、XとA は同棲を始めた。Yは実兄の家の一部屋を借りて住み、無職で資産を持っていない。一方、Xは2つの会社の代表取締役と他の1つの会社の取締役をしており、経済的には極めて安定した生活を送っていた。昭和58年にXは離婚調停を申立て、現金100万円と油絵1枚の財産上の給付を申し出たが調停は不調に終ったため、離婚訴訟を提起するに至った。
<裁判所の判断>
夫婦関係が破綻し回復の見込みがなくなった場合、有責配偶者から離婚請求が認められるためには、信義誠実の原則に照らしても許される必要がある。許されるかどうかを判断するに当たっては、
夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間と比較してかなり長期間に及んでいること。
当事者の間に未成熟の子が存在しないこと。
相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に非常に苛酷な状態に置かれる。
など、離婚請求を認めることにより、相手方が大きなダメージを受けるような事情がないことを考慮すべきであるとして、高裁判決を破棄し、高裁へ差戻した。
なお、差戻審では、離婚請求が認められている。
<コメント>
有責配偶者とは、婚姻関係を継続することが出来ない状況、すなわち、婚姻を破綻させた原因を作った側の配偶者のことです。
破綻につき責任のある一方当事者からの離婚請求は、原則として認められませんが、例外的に認められる場合もあります。その要件を定立したのが本最高裁判決です。
本判決後、様々な判決が出ていますが、上記の3要件のいずれかを重視するかにより結論を異にしています。また、別居期間が長期に及んでいるか否かの判断は難しい場合が多いようです。ただ、有責配偶者から他方配偶者へ財産給付がどの程度あるかという点及び子の監護についての配慮は重要視されてます。このため、婚姻の破綻原因が自分にあり、かつ、例外の要件を満たすかどうかが微妙な場合には、他方配偶者や子に対し、必要な金銭的援助を行い、出来る限り誠実に対応することが重要となるようです。
司法書士日記
~当法人の司法書士が、趣味の話や最近の出来事など、ざっくばらんに書いていきます~
こんにちは。昨年試験に合格しました新人司法書士の德丸です。どうぞよろしくお願いします。
数年にわたる受験生活と、合格後の数カ月にわたる新人研修で、体力がめっきり落ちてしまい、体重も標準から6キロも減ってしまいました。
以前はランニングしたり、ジムに行ったりしていましたが、最近は忙しかったり、花粉症だったりして行けていません。
6月には裁判関係の資格試験が控えていて、時間的にも体力的にも余裕がなく、これからも行けそうにないですね・・・
趣味のピアノもお預けです。
6月が過ぎれば落ち着くはず、ですので、今が踏ん張りどころだと思って、忍耐の「忍」の字で頑張っていきたいと思います。
まだしばらくは、見た目が青白くひ弱な新人司法書士のままですが、お仕事はしっかりと取り組んでいきたいと思います。
(龍田事務所 司法書士 徳丸 雅紀)
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