法エールVol.49
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ご挨拶
皆様、新年あけましておめでとうございました。旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。
さて、私は、昨年12月23日に、東京の司法書士会館で開催された日本司法書士会連合会が主催する「聴こえますか?私たちの声が~犯罪被害者、その魂からのメッセージ~」をテーマとした犯罪被害者支援シンポジウムに参加してきました。
当日は、「かけがえのない命のことを伝えたい」と題して危険運転致死罪の創設に尽力された鈴木共子様(生命のメッセージ展代表)、そして、「性犯罪被害にあうということ」と題して平成12年の夏に遭った自らの性被害体験を公表し、このような被害者の方の支援を行っている小林美佳氏、そして、「桶川女子大生ストーカー殺人事件~日本の潮流は変わったか~」と題して、警察の杜撰さを暴いた鳥越俊太郎氏による基調講演の後に、それぞれ対談が行われました。
私の対談相手は、鈴木共子さんと小林美佳さんでしたが、前日に鈴木共子さんの息子さんである零さんの死亡事故現場に行ってきたこともあり、不覚にも自ら用意した「天が重大な任務をある人に与えようとするときは、必ずまずその人の精神を苦しめ、その筋骨を疲れさせ、その肉体を飢え苦しませ、そのすることなすこと、いわゆるその行動を失敗ばかりさせ、そのしようとする意図とを食い違うようにさせるものだ。それは天がその人の心を発奮させ、性格を辛抱強くさせ、そして、いままでできなかったこともできるようにするための、尊い試練であるといいたい。」という言葉に涙をしてしまいました。
私達が、現在このように生きていられるのも「代受苦者」という仏教の言葉があるとおり、本来私が受けていたかもしれない痛みや苦しみを、代わりに受けてくれている人がいてくれるからこそだと思います。私たちは、改めて謙虚にそしてこのような犠牲になった人たちの分まで頑張って生きていかねばと再認識致しました。
そして、今年は、「志士仁人」になれるよう頑張っていきます。それでは、今月号もよろしくお願いします。
(代表社員 大島 隆広)
遺言について
これまで、何度か遺言に関してご紹介しましたが、やはり遺言に関しては多くの方が関心事であり、たくさんの反響をいただきました。
そこで今回から、遺言について再度ご紹介したいと思います。
今回は、「遺言にはどのような内容が書けるのか?」ということについてご説明します。
遺言は「民法」という法律の中で、どういった内容を書いた場合に効力があるのか、どのような方式で残すのかなどといったことが決められています。
遺言は一定の方式に従えば、その内容についてはどのようなことでも書くことができます。書いてはいけないものがある訳ではありません。しかし、法律上、効力をもつものは限られています。
身分(子どもなど)に関すること
認知(自分の子であると認めること。これは男性に限ります。)
未成年後見人、未成年後見監督人の指定(親権者などがいなくなる場合が想定されます。)
相続に関すること
相続人の廃除および廃除の取消
(廃除…虐待など著しい不行跡などのある相続人から相続人としての資格を奪うこと。つまり、廃除された人は相続財産を受け取ることができなくなります。)
相続分の指定または指定の委託
(民法で規定された法定相続分の変更したり、その変更を誰かに委ねることです。)
特別受益の持戻の免除
(特定の相続人へ行った婚姻などのための贈与については、相続人が生前に相続財産を受け取っていたとみなされるのですが、そのような扱いをしないということです。)
遺産分割方法の指定または指定の委託(具体的に財産配分を指定することです。)
遺産分割の禁止(最長5年間は遺産分割を禁止することができます。)
遺贈減殺方法の指定
(一定の相続人が遺留分減殺請求のをする場合の方法について指定できます。)
等があります。
財産の処分に関すること
遺贈(遺言で財産を無償で特定の相続人や相続人でない者に与えることです。)
一般財団法人の設立(遺産で財団法人をつくることです。)
信託の設定(遺言で信託をすることです。)
その他
遺言執行者の指定または指定の委託
(遺言内容を実現してくれる人をを指定したり、その指定を誰かに委ねることです。)
祭祀承継者の指定(先祖を供養し、お墓などを守る人を指定することです。)
他にも、生命保険金の受取人の変更もできますが、事前に変更の手続きを取っておいた方がトラブルを避けられます。
もちろん、これら以外に、例えば「母親の面倒を看るように」と言ったことを記載して、遺言を作成する際の気持ちや思いを残しておくことは出来ます。ただし、法律上の強制力はありません。
次回はどのような形式によって、遺言を作成することができるのかについて、ご紹介したいと思います。
判例紹介
隣地住人による建築妨害
東京高等裁判所 平成20年5月29日
<事案の概要>
Aさんは、Bさんから、住宅を建築する目的で、土地を代金5,170万円で買った。隣の建物にCさんが居住している。
Aさんは、建物について建築確認を受け、地鎮祭を行い、建築工事を請け負ったD社の代表者と一緒に近隣に挨拶回りをした。D社の代表者は、挨拶回りの夜、Cさんから脅迫的な口調で、「事前に施工者として、図面を持って説明に来るのが筋だろう。明日の午前9時30分までに来い」という趣旨の申入れを電話で受けた。
D社代表者とAさんは、Cさん宅を訪れ、建物の設計図面を示すなどして説明をした。しかし、CさんはD社代表者に、その建物を建てた場合、日影がCさん宅の建物の縁側に届くなどとして怒り、D社代表者とAさんに対して「ばか野郎」などと繰り返し怒鳴りつけ、「法律も区の判断もどうでもいい。自分の家の縁側に影がかからないことがすべてだ」「この図面はインチキだろう。俺(おれ)をだまそうとしているのだろう。若いやつらが動くぞ」「俺は有名な右翼だ」「俺はおまえのようなやつを殺したことがある」などと脅迫的で威圧的な暴言を並べ立て、設計の変更を強く迫った。
Aさんらは、警察署、近隣住民、建築会社などからCさんに関する情報を入手し、Cさんが暴力団関係者である可能性があり、その意向を無視して建物の建築を強行すれば、Cさんやその意を受けた者から、どのような危害を加えられるかも知れないと考えて、その建築を中断した。
このような状況で、Aさんは、Bさんに対し、このような住人が隣地に居住していることは同宅地の隠れた瑕疵に当たる、または、Bさんがそのような住人が隣地に居住していることをAさんに説明しなかったのは説明義務違反に当たると主張して、損害賠償請求権に基づき、損害金5,630万1,360円の支払いを求めた。
<裁判所の判断>
売買の目的物に瑕疵があるというのは、その目的物が通常保有すべき品質・性能を欠いていることをいい、物理的欠陥がある場合だけでなく、一般人であれば誰もがその使用の際に心理的に十全な使用を著しく妨げられるという欠陥がある場合も含むと解するのが相当である。
Cさんは、以前から、Bさんに対しても、脅迫的な言辞をもって、Cさんによる建築禁止要求部分にも建物を建築してはならないという、誠に理不尽な要求を突きつけている。このような脅迫罪や強要罪等の犯罪にも当たり得る行為を行う者が隣地に居住していることは、建物を建築、所有して平穏な生活を営むという宅地としての効用を物理的または心理的に著しく減退させ、その価値を減ずるであろうことは、社会通念に照らして容易に推測されるところである。
しかも、そのようなCさんによる要求は、一時的なものではあり得ず、今後も継続することが予想されるところである。
そうすると、売買土地は、宅地として、通常保有すべき品質・性能を欠いているものといわざるを得ず、瑕疵があるというべきである、として売買土地の減価率を15%と認定し、Bさんに775万5,000円の支払いを命じた。
<コメント>
家を建てる、またそのために土地を買う、というのは、人生の一大イベントです。当然、これからの生活が始まる場所ですので、近所にどのような人が生活しているのかというのは、とても大きな関心事ですよね。このような大きな買い物をする際には、その「物」だけを見るのではなく、周辺の環境やその物を取り巻く人間関係などにも注意が必要ですね・・・。
司法書士日記
~当法人の司法書士が、趣味の話や最近の出来事など、ざっくばらんに書いていきます~
3年連続!?
新しい年になり、初詣に行かれた方も多くいらっしゃるかと思います。私もその一人で、初詣に行きました。初詣といえば…そうです、「おみくじ」です。
実は、昨年、一昨年と私は大吉を引いていたのですが、さすがに今回は大吉は無理だろうと、心穏やかにくじをひいたところ…
なんと「大吉」!!3年連続で大吉を引きました!!こんなことってあるんだな~と、驚きと嬉しさと、なんとも不思議な感覚でした。
過去2年間を振り返ってみると…?あれっ?何かあったかな??
まっ、大きな事故や病気もなく、健康で無事に過ごせたことが大吉!と思い、今年も無事に一年過ごせますようにと祈願してきました。
(健軍事務所 司法書士 山﨑 順子)
コラム
ファーストシューズ
私には、1歳4ヵ月になる甥っ子がいるのですが、先日、じぃじ(私の父)がスニーカーを買ってあげようということで甥っ子も一緒に買い物に出掛けました。「これがかわいい、あれもいい」「○ディダスにしようか、○バランスにしょうか、プー○もいいね」などと言いながら、ちょこまか動いていろいろな靴に触ろうとする甥っ子を連れ戻しながら、○ディダスのオレンジ色のスニーカーに決めました。
家族みんなの愛情が詰まったこのスニーカーを履いて、たくさん歩いて、たくさんの物を見て聞いて触って、元気に育っていってほしいなぁと思います。
薄場事務所 小川 梓
お知らせ
当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結も行っています。
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寄り添う支援で笑顔ふたたび
当法人は、「NPO法人身近な犯罪被害者を支援する会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-341-8222 FAX 096-341-8333
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