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法エールVol.04

ご挨拶

皆様、いかがお過ごしでしょうか。さて、私事で恐縮ですが、先月、父の傘寿の祝いの記念にと思い、「K旅館」に一家揃って宿泊しました。「プロが選ぶ日本の旅館・ホテル100選」にて、29年連続して総合日本一の評価をされている旅館であると聞いていましたので、どのようなサービスを受けられるのかと、大きな期待を抱いていました。ところが、帰るまでの間に、「よく気がつくな。」と、思うことはあったものの、これはというサービスは特にはありません。少し、期待はずれに思っていましたが、振り返ってみますと、不満に思うことは何一つありません。なるほど、当たり前のことを当たり前にできるサービス。過剰ではなく、少しの付加価値をつけていくサービス。家族全員が、安心して宿泊できる旅館。ここに29年連続して日本一と評価される真髄があると思いました。そして、女中さんが、かなりの時間数を社員教育に充てられている、と言われていたことを思い出しました。さすが、「K旅館」。あらためて、継続して社員教育・人材育成を行っていくことの重要性を認識しました。当法人も見習いたいと思います。


それでは、今月号も宜しくお願いします。


(代表社員 大島隆広)


成年後見って何?

最近、次のような話を聞くことがよくあります。


認知症のすすんだ父親が入所する有料老人ホームへの費用を支払うため、銀行へ父名義の預金の払出しにいったところ、「お父さんの判断能力が衰えていらっしゃるのなら、家庭裁判所で成年後見人を選んでいただかないと払出しはできません。」と言われて困った。

母が認知症で、入院費に充てるため母名義の不動産を売却しようと思い、不動産業者に相談したところ、「今のお母さんの判断能力では売却するのは難しいので、成年後見人を選任する必要があるでしょうね」と言われて戸惑った。

たしかに突然、「判断能力」「成年後見人」「家庭裁判所」など耳慣れない言葉を言われても何のことかわからないのは当然かもしれません。


自分で判断する能力が不十分な人々(認知症高齢者・知的障害者・精神障害者等)を保護するためのしくみとして、平成12年4月1日から成年後見制度がスタートしました。


成年後見制度とは、一言で言うと、判断能力が不十分になっている人々を法的に支援する制度です。


成年後見制度には、高齢社会に対応したり、知的障害者・精神障害者等の福祉を充実させるために、次のような新しい考え方が活かされています。


自己決定の尊重(本人が自分で判断して決めることを尊重する)

残存能力の活用(本人が残された能力を最大限使って生活する)

ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会をつくるという考え方)

認知症の人や障害のある人の中には、一人では預貯金の出し入れや日常の買い物ができない人もいます。知的障害のある人の中にも、絵を描くことは好きでも、自分で画材道具を買ったりすることはできないという人もいます。そのような方々のために、「成年後見人」「保佐人」「補助人」といった法律で決められた代理人を選任し、本人に代わって預金の出し入れや介護契約など、一定の法律行為を行うことになります。なお、残存能力の程度(本人がどの程度自分でできるのか)の違いによって、後見・保佐・補助の支援内容が異なってきます。


成年後見人等はこれらの考え方を前提にして、いつも「本人のために何が最適な後見なのか」を考えながら活動することになります。


本人が判断能力が衰えてきたからといって当然に成年後見人が現れるわけではなく、一定の親族等が家庭裁判所へ申立てをしなければなりません。(※)成年後見人の選任が申し立てられるケースはさまざまです。


例えば・・・


判断能力が不十分な人の預貯金の払出し

判断能力が不十分な人を含めての遺産分割協議

障害者施設との入所契約の締結

高齢者が悪質商法に騙されたときや騙されないようにするため

認知症の親の生活費等にあてるために土地を処分する必要があるとき

知的障害のある子供の将来に備えておくため

このように成年後見制度は人生の中で誰しもが関わる制度といってもいいかもしれません。


次回は具体的にどのようにして成年後見人・保佐人・補助人を選任するのか、また、成年後見人・保佐人・補助人の仕事についてご説明いたします。


(※)民法7条では、「本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる」と規定しています。また、65歳以上の人、精神障害者、知的障害者であって、本人の福祉を図るために特に必要がある場合は、市町村長も申立てを行うことができます。(老人福祉法32条、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律51条の11の2、知的障害者福祉法28条)


判例紹介

鍼灸学校に対する学納金の返還請求と不返還特約の効力

最高裁判所 平成18年12月22日 判決:平成17年(受)第1762号 ※(受)…上告受理申立事件


事件の概要

X(原告:消費者)はY(被告:鍼灸学校)の平成14年度入学試験を受験して合格し、Yが定めた平成14年度学生要項に従い、所定期限の平成14年2月6日までに、Yに対し入学金70万円、授業料等110万円を納付して入学手続を行うとともに寄付金30万円を支払いました。


ところが、その後Xは妊娠していることが判明して、Yへの入学を取りやめるため同年3月25日から27日までの間に入学を辞退する旨申し出ました。


XはYに対して支払った合計210万円の返還を求めたが、Yは寄付金30万円の返還には応じても、一度支払われた学納金は一切返還されないという特約(不返還特約)を理由として返還に応じませんでした。


そこで裁判所は、寄付金30万円の返還を除いては、


入学金は入学手続と入学できる地位の取得の対価であり返還を要しない

授業料等は教育給付の対価であり、辞退があった以上は返還を要する

と判断し、不返還特約は辞退により学校側が受ける損害の賠償額の予定を意味するものであり、消費者契約法第9条1号が適用されること、また、4月1日以前の辞退の場合には学校側に平均的損害はないことなど消費者への授業料返還を認めました。なお、大学における入学辞退の場合の学納金の返還についても同様の判決があります。


平成18年11月27日 最高裁判決:平成16年(受)第2117号


コメント

この判決は、鍼灸学校というある程度の特殊性は認めつつ、大学と異なった扱いをするほどの事情はないとして、平成18年11月27日最高裁判決をそのまま当てはまるものとしたものです。その他各種学校にも影響を与える判決かと思われます。また判決にもあるように、合格者と学校において、消費者契約法が適用されるという事案でもありました。


消費者契約法第9条

次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。


当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの当該超える部分

当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が2以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの当該超える部分

コラム

基本的に、僕はテレビを見ません。数年前までは、テレビがないと生きていけない位に、テレビにかじりついでいましたが、仕事や研修その他諸々の用事に追われているうちに、テレビを見られる時間が減っていき、現在では朝、身支度をする際にチラッと見る程度になりました。なので、どういうタレントや歌手の人が人気があるのかほとんど知りません。


しかし、こんな私が唯一見るテレビ番組があります。それは、日曜の昼過ぎに放送される大阪発の討論プログラムです。思想に偏りがある・過激な発言が多すぎるといった批判も一部ありますが、この番組のすごいところは、タブーとされている問題を真正面から取り上げ、他者からの非難・中傷など恐れることなく、出演者が本音をぶちまける点だと思います。日曜の昼間という、ほんわかとした時間帯には全くをもってそぐわない内容ですが、言いたいことも言えずにストレスが溜まる多くの現代人にとって(私もその1人ですが)、見終わった後にスカッ~ とする番組ではないでしょうか。


一度見られたら、やみつきになること間違いなしの番組です。


(清水事務所 司法書士 西本清隆)


スタッフ紹介

今回は、清水事務所の西本清隆司法書士を紹介します。


西本さんは、無口でお茶目な32歳。最近は、甘いものを食べず、スポーツジムに通い、ダイエットに成功しました。15キロくらい落としたみたいです。


彼はとても勉強熱心で、司法書士以外にもさまざまな資格を持っています。現在も新たな資格取得を目指し勉強中です。


そんな彼は、キン肉マンマニアで、ロビンマスクをこよなく愛する32歳です。


当社に入社しもう2年経ちました。今や彼が清水事務所を引っ張っていく存在となりつつあります。


(薄場事務所 司法書士 井上勉)

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