
龍田事務所 伊藤 峰治
2025年6月20日
職権による住所等変更登記について / 裁判例紹介:取引デジタルプラットフォーム上で海外の事業者から購入した製品の欠陥による損害についてのプラットフォーム提供者の賠償責任 / コラム~3か月でマスター!~
法エールVol.197
ご挨拶
先日、お客様から朝鮮飴をいただきました。朝鮮飴は、私の父が好きで、私が小さい時はよく食べていたのですが、最近はほとんど食べることがなく、久しぶりに食べました。
味は昔と同じで、とてもおいしく、また懐かしく思いました。
朝鮮飴は、名前のとおり、朝鮮の人が作って日本に持ち込んだのが最初だと思っていたのですが、
お客様から、朝鮮飴は、熊本の銘菓であり、熊本の人が考案して作ったということを聞きました。
私は、熊本の銘菓ということも知らなかったので、非常に驚きました。
朝鮮飴の歴史を調べてみると、安土桃山時代に、老舗園田屋(本店:熊本市中央区)にて作られたということでした。
最初は、朝鮮飴ではなく、長生飴または肥後飴と呼ばれていたということです。文禄・慶長の役が起きたときに、
加藤清正がこの飴を兵糧目録に入れて朝鮮半島へ出兵し、長期の携行でも風味が損なわれず兵士達の英気を養うのに大いに役立った事から、
以後は朝鮮飴と呼ばれるようになったということです。
1970年代前半には、熊本で30軒以上の業者が作っていたということですが、現在は、老舗園田屋など数軒でしか製造していないということでした。
最近のお菓子は、着色料等いろいろなものが入っており、体によくないということで、子供にはあまり食べさせたくないと思う親御さんもいるかと思います。
しかし、朝鮮飴には、着色料等が含まれていないということで、子供のおやつにちょうどいいのではないでしょうか。
昔からあるお菓子を見直してみてもいいと思いました。
それでは、今月の法エールよろしくお願い致します。
(代表社員 井上 勉)
職権による住所等変更登記について
前回より、職権による住所等変更登記について説明しています。
今回は、その続きを説明します。
前回説明した所有者による検索用情報の申出は、自然人に限ります。自然人に関しては、その申出があると、法務局側で定期的に住基ネットに照会し、住所等の変更の有無を確認します。
そして、住所等の変更があると、メールアドレスを登録していればそのメールアドレスに、住所等の変更登記をすることについての確認のメールが届き、それを所有者が了承したときに、登記官が職権で変更の登記を行います。
一方、法人の場合は、検索用情報の申出は必要ありません。法人の本店等の変更があった場合は、法務局で把握できるので、法務省内のシステム間連携により、商業・法人登記システムから不動産登記のシステムにその変更情報を通知します。不動産登記の登記官は、その取得した情報に基づき、その法人に確認を取ることなく、職権により変更登記を行います。そのため、法人に関しては、本店等の変更の登記を期限内に行っていれば、住所変更等の登記の義務化に違反することはありません。
これまで3回にわたり、住所・氏名の変更登記申請の義務化、職権による住所変更登記及び所有者による検索用情報の申出についてご説明しました。所有者不明土地の解消のため、これ以外の制度もこれから施行されていきます。例えば、相続登記で、被相続人の不動産をもれなく把握するために、法務局において、その被相続人名義の不動産を一覧的にリスト化し、証明する制度が、令和8年2月2日から施行されます。これにより不動産の登記漏れを防ぐことができます。また、所有権登記名義人が死亡している場合、死亡の事実を符合によって登記簿に表示する制度が令和8年4月1日から施行されます。これにより、公共事業等を行う際に、対象土
地の所有者に相続が発生しているか登記簿をみて判断できるため、手間やコストを軽減することができます。
市町村役場と法務省が連携することにより、現在の所有者を正確に記載できるようにし、所有者不明土地が少しでも減少するように、法改正が進んでいます。
裁判例紹介
取引デジタルプラットフォーム上で海外の事業者から購入した製品
の欠陥による損害についてのプラットフォーム提供者の賠償責任
(東京地方裁判所令和4年4月15日判決)
【事実の概要】
Y社は、インターネット等を利用した電子商取引事業等を目的とする合同会社であり、電子商取引サイト(以下、「本件ウェブサイト」という。)を運営している。
Xは、本件ウェブサイトにおいて、「車用ジャンプスターター」としての充電式モバイルバッテリー(中国A社製。以下「本件バッテリー」という。)を購入した。
本件ウェブサイト内において、販売者ないし出品者はB社(メーカー直営店)と表記されていた。本件バッテリーは、翌日頃にはXに引き渡された。
その後、Xの居宅で火災(以下「本件火災」という。)が発生し、本件火災の原因は、本件バッテリーと判定された。
本件火災後、Xは、弁護士を代理人として、B社に連絡を取ろうと、中国の電話番号に電話を架けたが、誰も電話に出なかった。
そこで、Xは、本件ウェブサイトにあったフォームを利用してB社への連絡を試み、B社と連絡がついた。以後、B社とのやり取りが続いた。
しかし、Xは、B社とのやり取りが円滑に進まなかったため、Y社に対し、紛争解決の仲介をするよう依頼したが、Y社は、本件バッテリーの出品者との間で直接交渉するよう求めた。
結局、Xは、中国法人であるA社との間で、Xが購入した本件バッテリーについての損害賠償請求につき、和解金を支払う合意(以下、「本件和解」という。)を成立させ、
A社からの和解金の支払いもなされた。
なお、本件和解は、Xが本件バッテリーを中国法人のA社から購入したことを前提にしたものである。
その上で、XはY社に対し、第一次的に、本件ウェブサイトの利用を目的とする契約上の債務の不履行に基づき、損害の一部として30万円の支払い、
第二次的に、不法行為の結果、本件火災による損賠の賠償に関し不安及び精神的苦痛を受けたことによる慰謝料30万円の支払い、
第三次的に、Y社が商法14条または会社法9条の類推適用により本件バッテリーの販売者と連帯して債務不履行責任を負うとして、同責任に基づき、第一次的請求と同内容の支払を求めた。
【裁判所の判断】
請求棄却
1.利用契約上の債務不履行責任について
(1)出店・出品審査義務違反について
Xは、Y社が、消費者が安心、安全に取引できるシステムを構築する信義則上の義務を負うとしたうえ、この義務の中には出店・出品審査義務が含まれると主張する。
しかし、Xがその主張の根拠とする、内閣府消費者委員会内に設けられた「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会」の報告書は、
本件売買契約から約2年10カ月も後に作成されたものであるうえ、その内容も、利用者の安心、安全に向けた「提言」としてのものであり、直ちにXの主張の裏付けとなるものではない。
(2)保険・補償制度構築義務違反について
Xは、Y社が負うべき信義則上の義務として、保険・補償制度構築義務も主張する。
しかし、Xの主張の内容が明らかではなく、XはA社との間で本件和解を成立させることができていることを考慮すれば、Xの主張は、採用することができない。
2.不法行為責任について
Xは、Y社が本件ウェブサイトにおいて、消費者が問合せ可能な適切な表示を維持・把握する体制を構築する義務を負う旨主張する。
しかし、本件において、出品者(B社)への連絡先が記載され、また、別に連絡用のフォームも用意されていて、Xは、上記フォームを利用してA社と連絡を取り、本件和解を成立させている。
この過程で、A社(又はB社)が電話に出なかったからといって、そのことから当然に表示の不備があるということにはならず、
また、A社(又はB社)の対応の遅れがあったとして、その責任をY社に負わせるべき根拠は認め難い。
3.名板貸責任の類推適用について
そもそも、Xが、本件売買契約の時点で、本件バッテリーの販売者をY社と誤認していたことを認めるに足りる証拠がない。かえって、本件火災後のXの対応から、販売者がA社であることを当初から認識していたことがうかがえるので、この主張は失当というべきである。
なお、Xが控訴したが、東京高裁令和5年1月16日判決は控訴を棄却している。
【コメント】
今回、Xはデジタルプラットフォームを運営するY社に対し、どこまで責任追及できるかが問題となった事例です。
仮に、欠陥のある製品を情報をY社が得ており、漫然と出品をさせ続けていた場合には、安全配慮義務違反として損害賠償が認められる可能性はあります。
また、Y社が契約当事者としての外観を作出している場合には、A社が契約当事者であったとしても、Y社にも損害賠償を請求できることになります。
今回は、Xのいずれの主張も認められませんでした。
なお、デジタルプラットフォームを利用する消費者の保護を図るため「取引デジタルプラットフォーム消費者保護法」が令和4年5月に施行されています。
これにより、消費者はデジタルプラットフォーム運営者に対し、販売者の連絡先等の情報開示を求めたり、問題のある商品の出品削除等を要請することができるできるようになりました。
コラム~3か月でマスター!~
4 月からN H K で3 か月でマスターする「絵を描く」という番組が放映されています。
この番組は、一つのテーマを3 か月で学ぶことができます。
これまでにも世界史、数学、江戸時代などがあり、そして今回は「絵」。今流行りの大人の学び直し、所謂リスキリングの入門編です。
テレビを見るだけではなくテキストも発行されていて読むこともできます。
私の学生時代の美術の成績はいつも下の方で、絵を描くのは自分でも本当に情けなくなるくらいでした。まあ今もですが、、、。
ただ、絵画や美術品を鑑賞するのはけっこう好きで、年に数回はあちこちの美術館を巡ったりしています。
「3か月でマスターする絵を描く」の第1回目の題材は海に沈む夕日でしたが、講師の柴崎春通先生がグラデーションなどもスラスラといとも簡単に描いてしまいますし、
更に柴崎先生の優しい語り口調もあり、私でもすぐに同じくらい描けるのではないかと思わず錯覚してしまうほど楽しむことが出来ました。
柴崎先生はyoutubeもされておられるので、もし興味がある方は、まずはそちらを観てみるのも良いかもしれませんね。
(龍田事務所 伊藤 峰治)
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