
薄場事務所 永井 友美子
2025年3月20日
定期借地権 / 判例紹介:墓埋法10条に基づく納骨堂の経営の許可の取消しを求める / コラム 発酵食品のすすめ
ご挨拶
先日、労働市場等の研究をしている方のお話を聞きました。
日本は、現在、少子高齢化社会を迎え、人口が徐々に減少していくなか、若い人の働き手が少なくなっている状況にあるということです。
実際、若手労働者を確保しようと、各企業はリクルートを強化しており、若手労働者は取り合いになっています。
大企業では、初任給をこれまでより数万円上げたり、福利厚生を充実させたり、色々な手を使ってリクルートをしています。
2040年には現在より1100万人労働者が減少するという試算もあるということで、各業種で人出不足になっていくとのことです。
例えば、運送業は2040年には、20%もの労働者が減少すると見込まれており、そうすると、遠方への運送は難しくなるということです。
遠方へ運送できなくなると、食品や生活用品が不足するようになり、生活することが難しい地域がでてくるのではないでしょうか。
労働者不足は確実にくると思いますので、その対策を講じることが各企業に求められます。
製造業では、自動化、機械化が進められており、飛躍的に生産性が向上しているということで、それをさらに将来に渡って伸ばしていくことが大切です。
日本は、一人当たりの生産性は減少しているものの、これは高齢化によるものであり、現役世代に限ってみてみると、日本の生産性は世界でもトップクラスのものであるということでした。
そのため、生産性を向上させることについて、日本の企業は得意であり、これが日本企業の強みになるのではないかということでした。
司法書士の業界でも同じようなことが起こっており、司法書士数も去年くらいから減少に転じています。
これから司法書士の数が増えるのは、なかなか難しいのではないかと思いますので、生産性をあげる取り組みを行っていく必要があります。
また、若い方が司法書士に興味をもち、弊法人に入社してもらえたら、その若手を大事に育てて、将来の制度を担う人財になってもらえるようにしなければと思います。
それでは、今月の法エールよろしくお願い致します。
(代表社員 井上 勉)
定期借地権
先月は、賃借権でも少し特別な借地借家法の借地権の説明をしました。今月は、その借地権のなかでもさらに特別な「定期借地権」の説明をします。
「借地権」は賃借人の保護のため、先月ご紹介した賃貸借の期間や、契約の更新請求なども含め、様々な規定が設けられています。
そして、借地借家法の規定に反する特約で借地権者に不利なものは無効とする旨の規定が定められています(借地借家法(以下、法律名省略)第9条、第16条)。
「定期借地権」は借地権の存続期間を定め、その期間の経過により賃貸借契約を終了させるものです。
*「定期借地権」の特徴(第22条)
1.存続期間・・50年以上
2.契約の更新・・なし
3.建物買取請求権・・なし
4.使用目的・・制限なし
5.契約の方法・・書面
※2・3については、特約として定めることができます。
通常の「借地権」では契約の更新ができることを原則としますが、「定期借地権」は契約の更新をしない旨を定めることができるため、その点では賃貸人に有利であり、使用目的が制限されないという点では賃借人にもメリットがあると言えるのではないでしょうか。
そして、定期借地権にはさらに、「事業用定期借地権」という種類の借地権があります。
*「事業用定期借地権」の特徴(第23条)
1.存続期間・・30年以上50年未満
2.契約の更新・・なし
3.建物買取請求権・・なし
4.使用目的・・事業用のみ
5.契約の方法・・公正証書
※2・3については、一般の定期借地権と同様に特約として定めることができます。
使用目的が事業用に制限され、また、契約方法としても公正証書によらなければならないとされています。
この「事業用定期借地権」は、コンビニエンスストア等の店舗物件を建設する際に利用されることが多いようです。
以上、3回にわたり、賃貸借について説明をしました。普段の生活であまり意識することは少ないかもしれませんが、知っておくと役に立つ情報です。
賃貸借契約のご相談は、近くの司法書士、弁護士事務所や当法人にお問い合わせ下さい。
判例紹介
墓埋法10条に基づく納骨堂の経営の許可の取消しを求める
周辺住民の原告適格が認められた事例
(令和5年5月9日最高裁第三小法廷)
【事実の概要】
墓地、埋葬等に関する法律(以下「墓埋法」という)第10条1項は、「墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。」と定めている。
本件は同法同条項に基づき、宗教法人A寺が納骨堂(以下「本件納骨堂」という)の経営の許可を申請し、大阪市長が許可(以下「本件許可」という)をしたところ、
本件納骨堂の周辺住民らが、本件許可の取消しを求めたものである。
なお、原告らは、本件納骨堂から直線距離で100m以内に居住している。
大阪市は、墓埋法を執行するために、墓地、埋葬等に関する法律施行細則(以下、「本件細則」という。)を定めているところ、
本件細則8条は、「申請に係る墓地等の所在地が、学校、病院及び人家の敷地からおおむね300メートル以内の場所にあるときは、当該許可を行わないものとする。
ただし、市長が当該墓地等の付近の生活環境を著しく損なうおそれがないと認めるときは、この限りでない。」としている。第一審は原告適格を否定したが、原審はこれを肯定した。
【判決の判断】
本件細則8条本文は、墓地等の設置場所に関し、墓地等が死体を葬るための施設であり、その存在が人の死を想起させることに鑑み、
良好な生活環境を保全する必要がある施設として、学校、病院及び人家という特定の類型の施設に特に着目し、
その周囲おおむね300m以内の場所における墓地経営等については、これらの施設に係る生活環境を損なうおそれがあるものとみて、これを原則として禁止する規定であると解される。
そして、本件細則8条ただし書きは、墓地等が国民の生活にとって必要なものであることにも配慮し、上記場所における墓地経営等であっても、個別具体的な事情の下で、
上記生活環境に係る利益を著しく損なうおそれがないと判断される場合には、例外的に許可し得ることとした規定であると解される。
そうすると、本件細則8条は、墓地等の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家については、
これに居住する者が平穏に日常生活を送る利益を個々の居住者の個別的利益として保護する趣旨を含む規定であると解するのが相当である。
したがって、当該納骨堂の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住する者は、その取消しを求める原告適格を有するものと解すべきである。
【コメント】
今回の事例は、大阪市が行った本件納骨堂の経営許可に対し、周辺に居住する者が、その取消しを求める原告適格が認められるかについて争われたものです。
原告適格は、「法律上の利益を有する者」に認められます(行政事件訴訟法(以下、行訴法とします。)第9条1項)。
「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいいます。
そして、法律上保護された利益といえるか否かは、当該処分の根拠法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解することができるか否かによって判断し、具体的には、行訴法9条2項を参考に判断します。
今回の事例では、墓埋法10条が、墓地等の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家については、これに居住する者が平穏に日常生活を送る利益を個々の居住者の個別的利益として保護する趣旨を含む規定であると解するのが相当であるとして、本件納骨堂の周辺居住者に原告適格を認めたものです。
尚、厚生労働省の資料によると、2025年の年間死亡者数は1,500万人を超え、2040年にかけて増加傾向にあるとされています。
いわゆる「多死社会」といわれ、亡くなった方を埋葬するための墓地や納骨堂の数の不足も予想されます。
今回、裁判所は、墓埋法には墓地等の所在地周辺の居住者の「個別的利益」を保護する趣旨を含むと判断しましたが、
一方で、墓地等は国民の生活にとって必要であるものであり、この個別の利益と公の利益とのバランスをいかに図っていくかが、課題となるところです。
コラム 発酵食品のすすめ
最近、巷で腸活なるものが流行っていると聞きます。幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの大部分は腸で作られているそうで、発酵食品などで腸内環境を整えると色々と良い効果があるとか。
そのブームに乗ったわけではないですが、友人から醤油麹を頂いて以来、発酵食品類に興味が向いており、自分でも醤油麹を作ってみたり、
ネットで調べて米のとぎ汁を使った発酵液を作ったり、庭の梅の花でチンキ(アルコールに梅の花を漬け込んだもの)を作ったりと楽しみの幅は広がり続けております。
過去に塩麹、玉ねぎ麹を作った経験からいくと、醤油麹が1番簡単に作れる上に美味しく、色々な料理に使えるので私的には1番のお勧め。
そして、こういうものを作っていると書くと、だいぶ難しそうな物を作っている感じがしますが、どれも基本的には材料を混ぜるだけでいいので、何も難しいことはありません。
昔の人の知恵はすごいなと思う今日この頃。ちょっとした手作り体験を楽しめますし、健康にも良いのでお勧めです。
(薄場事務所 永井 友美子)
~寄り添う支援で笑顔ふたたび~
当法人は、「NPO法人身近な犯罪被害者を支援する会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-341-8222
FAX 096-341-8333
命の絆・大切に、輝く命・永遠に
当法人は、「一般社団法人命の尊厳を考える会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-337-1251
FAX 096-337-3355
当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結を行っています。
会社・個人問いません。詳しくはお近くの事務所までお気軽にお問い合わせください。
司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センター
龍田事務所
〒861-8006
熊本市北区龍田3丁目32番18号
TEL:096-327-9989 FAX:096-327-9799
清水事務所
〒861-8066
熊本市北区清水亀井町16番11号
TEL:096-346-3927 FAX:096-346-4044
薄場事務所
〒861-4131
熊本市南区薄場町46番地薄場合同ビル内
TEL:096-320-5132 FAX:096-357-5710
健軍事務所
〒862-0910
熊本市東区健軍本町22番2号(101)
TEL:096-360-3366 FAX:096-360-3355
ホームページアドレスw w w . h s h s c 2 0 0 3 . j p /
