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法エールVol.186

健軍事務所 平松 理会

2024年7月20日

民法(親子法制)の改正について 判例紹介/法定相続人が不動産を相続して10年以上経った後、遺言が見つ
かった事例 コラム ― コストコデビュー ―



ご挨拶



新紙幣が7月3日に発行されました。紙幣の刷新は20年ぶりということで、偽造防止や使いやすさの向上が狙いだということです。

新紙幣の1000円札の顔は、小国町出身の北里柴三郎先生(以下「先生」といいます。)です。先生は、世界的な細菌学者で、近代日本医学の父と称される方です。

去年、当法人で、小国町にある北里柴三郎記念館に行ってきました。北里柴三郎記念館では、先生の歴史を学ぶことができ、私も初めて先生の生い立ちから知ることができました。

先生は、庄屋を務める父と武家の娘の母の間に生まれ、母の影響で、幼少期から四書五経を教わったりと、勉学に勤しみました。

その後、西洋医学所に入学し、教師のマンスフェルトに出会い、医学のことを教わりました。23歳で、現在の東京大学医学部に進学し、卒業後医者となりました。内務省衛生局に就職し、ドイツへ留学することになりました。

ドイツでは、ベルリン大学コッホ教授に師事し、世界で初めて破傷風菌だけを取り出す「破傷風菌純粋培養法」に成功しました。

日本に帰国後、福沢諭吉先生の協力を得て、伝染病の研究を続け、ペスト菌を発見するという偉業を成し遂げました。

その後、紆余曲折を経て、北里研究所を設立し、そこで、狂犬病、インフルエンザ、赤痢、チフス等の血清開発に取り組みました。

また、人材の育成も行い、多くの研究者を輩出しました。最近では、ノーベル賞を受賞された大村智先生も北里研究所に所属され、多くの命を救っていらっしゃいます。

先生は、自分の信念に従い、たくさんの壁にぶつかりながらも、結果を残していかれました。

このように、北里柴三郎記念館では、たくさんのことを学べます。ぜひ、皆様も一度北里柴三郎記念館に行かれてみてはいかがでしょうか。

それでは、今月の法エールよろしくお願い致します。


(代表社員 井上 勉)


民法(親子法制)の改正について



令和4年12月に、親子法制の見直しを内容とする「民法等の一部を改正する法律」が成立、公布され、令和6年4月1日から施行されました。

今回の改正は、いわゆる無戸籍者問題の解消と児童虐待の防止のため、子の利益を保護する観点から、民法上の親子関係に関するルールを見直したものです。

今月号から3回にわけて主な改正ポイントをお伝えしていきます。


<嫡出推定規定の見直し・女性の再婚禁止期間の廃止>


子の出生の届出をしなければならない方が、何らかの理由によって出生の届出をしないために、戸籍に記載されない子が存在するという、いわゆる無戸籍者問題があり、その一因として民法の嫡出推定制度の存在が指摘されていました。

嫡出推定制度とは、生まれた子の父が誰であるかを法律上早期に確定して子の利益を図るための制度です。


改正前の民法では、妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。

婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したもと推定するとされていました。

そのため、母が前夫との離婚後300日以内に子を出産した場合には、その子は民法上前夫の子と推定されるため、子の血縁上の父と前夫とが異なる時であっても、原則として、前夫を父とする出生の届出以外は受理されないため、母が子の出生届の提出をためらうという事態が生じ、子が無戸籍となるケースがありました。


今回の改正で、婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消等の日から300日以内に生まれた子については、婚姻中に懐胎したと推定され(民法772条2項後段「以下、法令名を省略」)、

母が、子を懐胎した時から子の出生の時までの間に、前夫以外の男性と再婚した後に子が生まれた場合には、その子は、再婚後の夫の子と推定されることになったため(772条3項、2項、1項)、血縁上の父である再婚後の夫を父とする出生の届出が可能となりました。


また、婚姻成立の日から200日を経過した後だけでなく、婚姻の成立の日から200日以内に生まれた子についても、夫の子と推定することになりました(772条2項前段、同条1項後段)。

他にも、改正前民法733条1項では、女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができないと定められていました。

これは、前夫の嫡出推定と再婚後の夫の嫡出推定との重複により父が定まらない事態を回避するための規律でしたが、今回の改正により、そのような事態は生じることが無くなったため、再婚禁止期間の規定は廃止されたものです。




次回は、嫡出否認制度の見直しについてお伝えいたします。




判例紹介



法定相続人が不動産を相続して10年以上経った後、遺言が見つかった事例(相続回復請求権と所有権の時効取得)

(令和6年3月19日最高裁判所第三小法廷判決)



【事実の概要】


被相続人Bは、平成13年4月、甥であるY1及びA並びに養子であるXに遺産を等しく分与する旨の自筆証書遺言(以下「本件遺言」という。)をした。Bは、不動産(以下、「本件不動産」という。)を所有していたが、平成16年2月13日に死亡した。Bの法定相続人は、Xのみである。Xは、平成16年2月14日以降、所有の意思をもって、本件不動産を占有している。Xは当時、本件遺言の存在を知らず、本件不動産を単独で所有すると信じ、これを信ずるにつき過失がなかった。Xは、平成16年3月、本件不動産につき、X単独名義の相続を原因とする所有権移転登記をした。


Bの死亡から10年以上経過した後、Bの自筆証書遺言が見つかり、Y2及び同Y3は、平成31年1月、東京家庭裁判所により、本件遺言の遺言執行者に選任された。Xは、平成31年2月、Y1、Y2、Y3(以下、「Yら」という。)及びAに対し、本件不動産に係るY1及びAの各共有持分権につき、取得時効を援用する旨の意思表示をした。


上告人Yらは、Y1及びAの有する民法884条所定の相続回復請求権の消滅時効が完成していないところ、相続回復請求の相手方であるXは、上記消滅時効の完成前に上記各共有持分権を時効により取得することはできないというべきであるのに、Xによる時効取得を認めた原審の判断には、法令の解釈適用の誤り及び判例違反があるとして上告したものである。


(所有権の取得時効)


民法第162条二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。


(相続回復請求権)


民法第884条相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。


【判旨】上告棄却


民法884条所定の相続回復請求権の消滅時効と同法162条所定の所有権の取得時効とは要件及び効果を異にする別個の制度であって、特別法と一般法の関係にあるとは解されない。

また、民法その他の法令において、相続回復請求の相手方である表見相続人が、上記消滅時効が完成する前に、相続回復請求権を有する真正相続人の相続した財産の所有権を時効により取得することが妨げられる旨を定めた規定は存しない。そして、民法884条が相続回復請求権について消滅時効を定めた趣旨は、相続権の帰属及びこれに伴う法律関係を早期かつ終局的に確定させることにあるところ、上記表見相続人が同法162条所定の時効取得の要件を満たしたにもかかわらず、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成していないことにより、当該真正相続人の相続した財産の所有権を時効により取得することが妨げられると解することは、上記の趣旨に整合しないものというべきである。以上によれば、上記表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができるものと解するのが相当である。このことは、包括受遺者が相続回復請求権を有する場合であっても異なるものではない。したがって、Xは、本件不動産に係る上告人Y1及びAの各共有持分権を時効により取得することができる。


【コメント】


本件判例では、被相続人であるBが、養子であるX以外の甥であるY1及びAに遺贈をしていたにもかかわらず、これを自筆証書遺言でしていたために、その発見が遅れ、表見相続人であるXの時効取得が、Y1及びAの相続回復請求権に優先するとしたものです。残された相続人等が故人の遺志を確認し、その遺志を実現するためにも、自筆証書遺言にする場合には、法務局の自筆証書遺言書保管制度の利用をお勧めします。



コラム ― コストコデビュー ―


遅ればせながら、先日御船町のコストコに初めて行きました。以前から興味はありましたが、大家族でもないし、そもそも大量買いやまとめ買いがどちらかというと苦手なので、積極的に行ってみようとはなかなかなりませんでした。

しかし、最近テレビ番組でやたらとコストコが登場し、他では売っていなさそうな商品に気になり始め、また、期間限定だったと思いますが、会員にならずに入場できるというチラシが入っていたので、とりあえず見物にでも、と思い立ちました。


「倉庫店」という表現が本当なんだなというのが第一印象でした。そして特に食品は一袋の量が多く、買いたい気持ちとわが家の冷凍室のキャパとの間で葛藤しまくりでした。

相当悩んで、豚ひき肉を買いましたが、こんな量を1 度に買ったことがない、という量でした。

3分の2 ほどは冷凍しましたが、残りは使いきってしまおうと、買った日から豚ひき肉を使った作りおきなど、レシピを検索しながら作ってみました。

料理はその日の気分で何を作るか決めることが多いので、同じものを大量に買うことが苦手だったのですが、自分の料理のレパートリーを広げるには、たまにはコストコに行くのもよいかもしれない、と思いました。

当初は会員になるか決めていませんでしたが、結果会員になったので、1年のうちに何回かは行くことになりそうだなと思っています。コストコに行く前には冷凍庫整理をしてから行かなければなりませんね。


(健軍事務所 平松 理会)




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