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法エールVol.176

清水事務所司法書士 小山愼一郎

2023年9月20日

不動産登記関係改正点  判例紹介|市庁舎前広場利用不許可と集会の自由  司法書士日記



ご挨拶

今年の夏も暑かったですが、調べてみると、熊本の今年8月の気温は、30度以上の真夏日が31日間あったということです。北日本は、平年より2度近く高温となり、気象庁は、北日本に関して、今年の猛暑は異常気象であるとの見解を示しています。

このように猛暑が続くと、エアコンの利用が多くなりますが、電気料金は、ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、火力発電の燃料(石油や天然ガス)の価格が高騰しているため、値上がりしています。

日本は、石油等の燃料を輸入に頼っているため、燃料価格が高騰している今、貿易赤字が続いています(貿易赤字とは輸入額が輸出額を上回り、貿易収支が赤字状態のことをいいます)。

日本は、純国産エネルギーの比率が12%しかなく、ほとんどを輸入に頼っています。当然、燃料が輸入できなくなれば、日本国民の生活はかなりの不便を強いられます。

日本には、自国でとれる燃料があまりないので、燃料をどのように確保していくかは重要な問題です。現在、日本では、再生可能エネルギーを利用して、エネルギーを確保しようと取り組んでおり、太陽光や風力が主に使われております。一方、日本は火山国であり、地熱資源量が世界3位ですので、地熱を利用した発電ができれば、自国のエネルギー生産量が大幅に増えることになります。

地熱発電をするには、開発から稼働まで平均20年かかり、コストも高額なため、民間企業は敬遠しがちですが、ある民間企業が、開発から稼働までの期間を20年から5年に短縮し、コストも大幅に削減することに成功しました。その企業は、現在、熊本県小国町で5メガの地熱発電事業の準備をしており、早ければ来年から稼働する予定だということです。

その民間企業は、日本のエネルギー事情をどうにかして改善したいという大義をもって、技術改善に取り組んできたということでした。将来、日本がエネルギーをすべて自給自足できるようになれば、貿易収支が赤字になることも少なくなるでしょうし、国民の生活もより安定していくものと思います。

当法人も、法を活かし、人を生かすという理念のもと、市民の皆様の法的権利を実現していくという大義をもって仕事に取り組み、少しでも多くの方の法的問題を解決できるように尽力して参ります。

それでは、今月の法エールよろしくお願い致します。


(代表社員 井上勉)




不動産登記関係改正点

本年7月号より、令和5年4月1日より施行されている不動産登記関係の改正点の一部を紹介してきました。今回は、買戻し特約の抹消登記手続きについて説明します。

買戻し特約とは、売買契約と同時に、売主が買主に対して受領した売買代金(売主と買主で別段の合意をした場合は、合意によって定めた額)および契約の費用を返還して、売買契約の解除ができる旨を合意する特約のことです。

この買戻し特約で定められる期間は最長10年で、その後に期間の延長をすることができません。つまり、売買契約と同時に買戻し特約の登記がなされたときは、その売買契約から10年経過している場合、その買戻し特約は期間満了により効力を失っていることになります。

しかし、改正前の不動産登記法においては、10年経過し、効力を失っている買戻し特約の登記を抹消する場合であっても、原則として登記権利者(不動産所有者)と登記義務者(買戻権者)が共同して登記を申請する必要があり、手間やコストがかかっていました。また、買戻し特約の登記が抹消されることなく放置され、不動産の円滑な取引を阻害しているという問題も生じていました。

そこで、令和5年4月1日からは、買戻しの特約がされた売買契約の日から10年を経過したときは登記権利者(不動産所有者)が、単独で買戻しの特約の登記を抹消することができるようになりました。(なお、10年経過していない場合は、従前どおり登記権利者と登記義務者が共同して申請します。)

買戻し特約の登記が残ったままでは、不動産を売却したり、金融機関等へ担保に差し入れたりすることが難しくなりますので、早めに抹消の手続きをしておくことをお勧めしております。

詳細につきましては、当法人にお気軽にご相談ください。

(買戻しの特約に関する登記の抹消)

第六十九条の二買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。





判例紹介


市庁舎前広場利用不許可と集会の自由

(令和5年2月21日最高裁第三小法廷判決)



≪事案の概要≫


1.X(〇〇県憲法を守る会)は、Y市の管理するY市庁舎前広場(以下、「本件広場」という。)にて「憲法施行70周年集会」を開催するため、Y市庁舎等管理規則(以下、「本件規則」という。)6条1項所定の許可を申請した。

2.Y市長は、同集会が本件規則5条12号(以下、「本件規定という」。)に当たり、庁舎等の管理上支障があるとして不許可処分とした(同条14号)。

3.Xは不許可処分を受けたことで集会の自由を害されたとして、Y市に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた。

4.第一審、控訴審共にXの請求を棄却したため、Xが上告。

※本件規則5条何人も、庁舎等において、同条各号に掲げる行為をしてはならない同条2号拡声器を使用する等けん騒な状態を作り出す行為同条3号旗、のぼり、プラカード、立看板等を持ち込む行為同条12号特定の政策、主義又は意見に賛成し、又は反対する目的で個人又は団体で威力又は気勢を他に示す等の示威行為同条14号同条1号から13号までに掲げるもののほか、庁舎管理者が庁舎等の管理上支障があると認める行為※本件規則6条1項庁舎管理者は、本件規則5条1号から7号までに掲げる行為について、被上告人の事務又は事業に密接に関連する等特別な理由があり、かつ、庁舎等の管理上特に支障がないと認めるときは、当該行為を許可することができる



同条4項許可を受けようとする者は、あらかじめ所定の様式による申請書を提出しなければならない


≪裁判所の判断≫


本件上告を棄却する。

普通地方公共団体の庁舎は(その建物の敷地を含む、以下同じ。)、公務の用に供される過程において、住民等により利用される場面も想定され、そのことを踏まえた上で維持管理がされるべきものである。普通地方公共団体の庁舎は、飽くまでも主に公務の用に供するための施設であって、主に一般公衆の共同使用に供するための施設である道路や公園等の施設とは異なる。

このような普通地方公共団体の庁舎の性格を踏まえ較量するに、公務の中核を担う庁舎等において、政治的な対立がみられる論点について集会等が開催され、威力又は気勢を他に示すなどして特定の政策等を訴える示威行為が行われると、Y市長が庁舎等をそうした示威行為のための利用に供したという外形的状況を通じて、あたかもYが特定の立場の者を利しているかのような外観が生じ、これにより外見上の政治的中立性に疑義が生じて行政に対する住民の信頼が損なわれ、ひいては公務の円滑な遂行が確保されなくなるという支障が生じ得る。本件規定は、上記支障を生じさせないことを目的とするものであって、その目的は合理的であり正当である。

本件広場はYの本庁舎に係る建物の付近に位置してこれと一体的に管理ないし利用されている以上、示威行為が行われた場合にも、Y市長が庁舎等の一部である本件広場を示威行為のために利用に供したという外形的な状況を通じて、あたかもYが特定の立場の者を利しているかのような外観が生ずることに変わりはない。Y市長が庁舎管理権の行使として、庁舎等の維持管理に支障がない範囲で住民等の利用を禁止していないということの結果であって、これにより庁舎等の一部としての本件広場の性格それ自体が変容するものではない。したがって、本件広場における集会に係る行為に対し本件規定を適用することが憲法21条1項に違反するものということはできない。


≪コメント≫


「集会の自由」の判例の1つに泉佐野市民会館事件(平成元年(オ)第762号)が有名で、同市条例では公の施設(地方自治法第244条)である市民会館使用について、最高裁は、集会の自由を保障することの重要性よりも人の生命・身体等が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避・防止する必要性が優越する場合に限られ、その危険は単なる蓋然性では足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見が必要であると解するのが相当であるとし、当時同会館で集会が行われると、人の生命・身体等への明らかな差し迫った

危険もあったため、同会館の使用不許可は憲法第21条、地方自治法第244条に違反するものではないとしました。

今回の判決は、本件規定が、公務の円滑な遂行が確保されなくなるという支障を生じさないことを目的とするものであって、その目的は合理的であり正当であるとしました。そして、本件規定により、禁止されるのは、飽くまでも公務の用に供される庁舎等において、公務の円滑な確保がされなくなるという支障が生じ得る示威行為を行うことに限定されているのであって、他の場所、特に、市民会館等の公の施設利用をまでも妨げるものでもなく、集会の自由の制限も本件規定の示威行為と限定的であるとしました。今回のY市長の判断は、庁舎等の一部である本件広場は、Y市長が庁舎等の維持管理に支障がない範囲で住民の利用を禁止していないという結果に過ぎないとし、本件広場における集会に係る行為に対し、本件規定を適用することが憲法21条1項に違反するということはできないとしました。


【日本国憲法】第二十一条集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。


【地方自治法】(公の施設)

第二百四十四条普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)

を設けるものとする。

2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施

設を利用することを拒んではならない。

3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。



司法書士日記

私は、7 5 歳の司法書士です。

1 か月に一回、自宅にお上人が御出でになり、先祖供養をしていただきます。

また、1 か月に1 ~ 2 回、墓の花換えに墓所へ行きます。自宅の仏壇の花は、適宜換えるようにしております。

花が身近にあると、生活が潤うような気がしております。このように感じるようになったのは、熊本地震により石碑、墓誌等が傾いたり、倒れたりした光景を目にした頃からでしょうか。

私は、長年、個人事務所として司法書士業務を行っておりましたが、69歳の時に、当法人へ入社しました。

個人事務所の時には、忙しくて、大きくなった子供から「昔は、お父さんから遊んでもらった記憶がない。」と言われました。

今では週末に夫婦で、南関町や、大津、阿蘇や三角などへ食事に行くこともあります。

最近は、なんだかゆったりとしております。

若い頃は、身長177センチ、体重66 キロであったものが、現在は173センチ、体重85キロであちこちゆったりしてきております。

私の身の回りの人間関係が、優しくて、このままであれば良いなと思う環境にあります。


(清水事務所司法書士 小山愼一郎)




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