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法エールVol.163

薄場事務所 井上 史織

2022年7月20日

~実質的支配者リストについて~
判例紹介
コラム~こんにちはあかちゃん!さらばタラレバ娘!~

ご挨拶

7月8日に、安倍晋三元首相が銃弾を受けお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈りいたします。安部元首相は、美しい国つくりをスローガンに掲げ、経済、防衛、教育、外交等多岐に渡る問題に正面から取り組まれました。結果がすでに出たものもあれば、道半ばのものもあり、これから岸田首相が取り組まれるものと思います。特に、憲法改正は、安倍元首相が強く望んでいたように思います。現在、ウクライナ侵攻で世界は混とんとした状況になっておりますが、日本は人道的及び物資の支援を行っているものの、武器の提供等の支援はできません。日本からウクライナには、防弾チョッキ、ヘルメット、小型ドローンなど、防衛装備移転三原則の範囲内で支援しておりますが、これ以上の支援となると難しいようです。防衛装備移転三原則は、安部元首相が首相の際に制定したものですが、それ以前は、武器輸出三原則に基づき、防弾チョッキ等でさえ輸出することができませんでした。他国がさまざまな支援を行っている中、日本は日本国憲法のもと、できる限りの支援をするしかありません。憲法改正には賛否両論ありますが、安部元首相が掲げたスローガンに基づき、戦後体制を見直し、もともと日本人が持っていた価値観を再認識して、今以上に自律した国となるようにしていかなければなりません。憲法改正もタブー視せずに、国民の中で議論が進んでいけばよいのではないかと思います。 それでは、今月の法エールよろしくお願い致します。

(代表社員 井上 勉)

 

~実質的支配者リストについて~令和4年1月31日より、株式会社(特例有限会社を含みます。以下、総じて「株式会社」といいます。)の申出により、商業登記所の登記官が、当該株式会社が作成した実質的支配者情報一覧(以下、「実質的支配者リスト」といいます。)につき、所定の添付書面により内容を確認して、その写しを発行する制度が始まっています。今回より、実質的支配者リストの制度の概要及び手続きの流れについて説明します。 1.創設の背景公的機関において法人の実質的支配者に関する情報を把握することについては、法人の透明性を向上させ、資金洗浄等の目的による法人の悪用を防止する観点から、FATF(金融活動作業部会。マネー・ローンダリング対策などに取り組む主要国の連携システム。)の勧告や金融機関からの要望等、国内外の要請が高まっています。こうした要請を踏まえ、法人設立後の継続的な実質的支配者の把握についての取組の一つとして創設されることになりました。 2.制度の概要実質的支配者リストとは、実質的支配者について、その要件である議決権の保有に関する情報を記載した書面のこといいます。そして、この制度は、株式会社は自らが実質的支配者リストを作成し、商業登記所の登記官が、その株式会社が作成した実質的支配者リストにつき、所定の添付書面により内容を確認して、申出がなされた実質的支配者リストの保管及び認証付きの写しの交付を行うものです。なお、これら手続きは法務局の手数料はかからず、郵送による申出も可能です。 3.対象となる実質的支配者この制度の対象となる実質的支配者とは、犯収法施行規則第11条第2項第1号の自然人(同条第4項の規定により自然人とみなされるものを含む。)に該当する者をいいます。具体的には、次の(1)又は(2)のいずれかに該当する者です。(1)会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)(2)に該当する者がいない場合は、会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)次回は、実質的支配者リストの保管及び写しの交付の流れ等について説明します。



(法務省ホームページより抜粋)

 

判例紹介

ツイッターに投稿された記事の削除請求

最高裁判所第二小法廷 令和4年6月24日判決 令和2年(受)第1442号


事案の概要

Aは、平成24年4月、旅館の女性用浴場の脱衣所に侵入したとの被疑事実で逮捕された。Aは、同年5月、建造物侵入罪により罰金刑に処せられ、同月、その罰金を納付した。Aが逮捕された事実(以下「本件事実」という。)は、逮捕当日に報道され、その記事が複数の報道機関のウェブサイトに掲載された。同日、ツイッター上の氏名不詳者らのアカウントにおいて、本件各ツイートがされた。本件各ツイートは、いずれも上記の報道記事の一部を転載して本件事実を摘示するものであった。なお、報道機関のウェブサイトにおいて、本件各ツイートに転載された報道記事はいずれも既に削除されている。


Aはツイッターを運営するB社に対し、本件各ツイートの削除を求めたが、原審は、Aが各ツイートの削除を求めることができるのは、Aの本件事実を公表されない法的利益と各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に関する諸事情を比較衡量した結果、Aの本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合に限られると解するのが相当であるところ、Aの本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえないとして、Aの請求を棄却した。そのため、Aが上告したものである。 


裁判所の判断

Aが、本件各ツイートによりAのプライバシーが侵害されたとして、B社に対し、人格権に基づき、本件各ツイートの削除を求めることができるか否かは、本件事実の性質及び内容、本件各ツイートによって本件事実が伝達される範囲とAが被る具体的被害の程度、Aの社会的地位や影響力、本件各ツイートの目的や意義、本件各ツイートがされた時の社会的状況とその後の変化など、Aの本件事実を公表されない法的利益と本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、Aの本件事実を公表されない法的利益が本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に優越する場合には、本件各ツイートの削除を求めることができるものと解するのが相当である。原審は、Aが削除を求めることができるのは、Aの本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合に限られるとするが、そのように解することはできない。


Aの逮捕から原審の口頭弁論終結時まで約8年が経過し、本件各ツイートに転載された報道記事も既に削除されていることなどからすれば、本件事実の公共の利害との関わりの程度は小さくなってきている。また、本件各ツイートは、Aの逮捕当日にされたものであり、140文字という字数制限の下で、上記報道記事の一部を転載して本件事実を摘示したものであって、ツイッターの利用者に対して本件事実を速報することを目的としてされたものとうかがわれ、長期間にわたって閲覧され続けることを想定してされたものであるとは認め難い。さらに、Aの氏名を条件としてツイートを検索すると検索結果として本件各ツイートが表示されるのであるから、本件事実を知らないAと面識のある者に本件事実が伝達される可能性が小さいとはいえない。加えて、Aは、その父が営む事業の手伝いをするなどして生活している者であり、公的立場にある者ではない。以上の諸事情に照らすと、Aの本件事実を公表されない法的利益が本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に優越するものと認めるのが相当である。したがって、Aは、B社に対し、本件各ツイートの削除を求めることができる、として原判決を破棄し、B社の控訴の棄却した。 


コメント

今回、Aは自身の逮捕歴に関するツイートの削除要請を行い、認められたものです。過去の犯罪歴等がツイッターに掲載されてしまうと、いわゆる「デジタル・タトゥー」として、ツイッター上に残り続けます。日常生活において身近に利用している、ツイッターやインターネット上の情報は、ひとたび掲載されると長期間にわたり残り続けることになることから、法的整備やSNS等に対する教育等、様々な課題が残されています。

 


コラム

~こんにちはあかちゃん!さらばタラレバ娘!~

昨年秋に出産し、育休から戻ってまいりました。その子がお腹にやってきて間もなく、当時2歳の娘が「おねえちゃんになるんだよね」と語り始めました。それから、「(お腹の子は)男の子。おそらにいたときからいっしょだったから知っている」というのでした。なぜ私たちの元に娘が来てくれたかと聞くと「(おそらでも)今とおなじ(家族構成)で暮らしていたから」と教えてくれました。このような話は胎内記憶といわれて、同じような話をしたお子さんの言葉をまとめた本などもあるようです。娘の話を聞いて、私たち家族がいるのは、偶然ではなくて、必然であることを娘が教えてくれているように思いました。育休中に一人でいると、「あの人がああしてくれたら良かったのに」とか、「あの時、別の選択をしていれば違う結果が出ていたのかも」など、私の頭にもやもやが現れていました。娘の話を聞いた時、私の中のタラレバ娘が一気に退治されました。今日ここにこうして自分が存在するために、今までの頑張った日も頑張らなかった日も(笑)あったんだと思いました。今ここでできることをしようと決めた育休期間でした!これからは、仕事に育児に邁進してまいります。

薄場事務所 井上 史織

 

お知らせ寄り添う支援で笑顔ふたたび当法人は、「NPO法人身近な犯罪被害者を支援する会」との連携を図っています。ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。TEL 096-341-8222 FAX 096-341-8333命の絆・大切に、輝く命・永遠に当法人は、「一般社団法人命の尊厳を考える会」との連携を図っています。ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。TEL 096-337-1251 FAX 096-337-3355司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センター当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結を行っています。会社・個人問いません。詳しくはお近くの事務所までお気軽にお問い合わせください。


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